現在、60歳から94歳までの自立したシニアが暮らす、ゆいま~る那須。介護が必要な人には、外部のケアマネジャーと連携してヘルパーが派遣されたり、訪問看護、訪問診療も受けられる。要介護度が上がり、夜間にひとりで過ごすのが難しくなると、病院や施設に移るケースもあるという。
「ただ私は、コミュニティの中で手を差し伸べあうことで、ここを終の棲家にすることも不可能ではないと考えています。今から入居者同士で『私たち、死ぬまで助けあって暮らせたらいいわね』と話しあうことも多いです」
久田さんたち団塊世代は、保育園でも学童保育でも、社会にないなら自分たちで立ち上げようとしてきた。そのバイタリティで、これからの介護の形を考え、行動に移していく。
「ここでの暮らしが、その試みのひとつになればと思います。GWには息子一家が初めて遊びに来たのだけれど、人づてに、息子が『母が楽しそうに暮らしているのを見て、安心した』と言っていたと聞きました」
近くにある小学校跡地では、「那須まちづくり広場」プロジェクトが進行中。コミュニティカフェや地元の農産物の販売店にまじって、久田さんもテナントを借りて人形劇団「パペレッタ・カンパニー」を再開した。
「昨年4月に広場がオープンしたときのイベントでは、ゆいま~る那須の仲間も加わって人形劇を上演しました。これからは地元のいろんな世代の人にも参加してもらいたいので、メンバーを募集中です」
人生の大きな岐路で、つねにベストの選択をするのは難しい。けれども選んだ道で、自分のベストを尽くすことはできるはずだ。70歳からの久田さんのチャレンジに、大きな勇気をもらった気がする。