久田さんが住むのは平屋の14坪タイプ。劇団の人形を作ってくれていた亡き友人の陶芸作品を窓辺に飾って

 

ゆいま〜る那須の隣には若い酪農家が営む牧場とカフェがある。ジャージー牛乳を使った美味しいヨーグルトやアイスがおすすめだそう。「窓を開けると、牧草の甘い香りが漂ってくるのも私は大好き」と久田さん

 

昼食と夕食は食堂で用意してもらえるのも、何十年も家族のために食事を作ってきた久田さんには、まるで夢のような気楽さだという。

「原稿を書いていても、そのことだけに集中できるので、仕事がはかどること、はかどること。明日のお弁当をどうしようとか、炊飯器のスイッチを押したかしらと気を揉むのもけっこう負担だったんだ、と改めて気がつきました」

入居者には、久田さんのように現役で仕事を続ける人が多い。取材当日に美味しいランチを作ってくれた食堂のシェフや、駅や病院、スーパーなどを往復する送迎バスのドライバーなど、ゆいま~る内で働く人もいる。

「この辺りで60~70代はまだまだ若手なので(笑)、コンビニなどのアルバイトも引く手あまたのようですよ」

施設内の音楽室にピアノの先生を招いてレッスンを受けたり、懐かしい映画の上映会を開くなど、有志によるイベント活動も盛んだ。特に久田さんが楽しみにしているのが、毎週土曜日の夜に食堂で開かれる居酒屋だそう。

「入居してすぐのころ、あまりに楽しくて飲みすぎちゃったことがあります。そのとき、ひっくり返った私をスタッフが介抱し、タクシーで病院へも付き添ってくれて。『いざというとき見守ってくれるサービスがあるありがたさだわ』と実感できたものです」