頼もしい医療ソーシャルワーカーの存在
父が入院している病院には、地域医療推進室という部署があり、医療ソーシャルワーカーが、主治医をはじめ院内スタッフと連絡・調整を行ってくれている。
私は父のいる階から1階に降りて、先程の話し合いの時に同席していたソーシャルワーカーに今後の相談をするために、地域医療推進室の受付に向かった。
退院の時期が来ると、活用できる介護等のサービスを紹介してくれたり、在宅復帰へ向けた支援、あるいは適切な施設などの紹介をしてくれたりするのがソーシャルワーカーの仕事でもあるそうだ。
「先ほどは、同席いただき、ありがとうございました。父のことを全部把握してくださっていると思うので、相談に乗ってほしいのです」
ソーシャルワーカーは快く返事をしてくれた。
「はい、寒くなる前に退院できるように調整しましょうね。しかし、生憎この後先約があるので、次回まで待ってください。次にいらっしゃるご予定は?」
「3日後に参ります」
スケジュールを確認するためにソーシャルワーカーは一度部署に戻った後、私に希望時間を言ってくれた。帰ろうとすると私を一瞬引き留めて、ソーシャルワーカーが言った。
「森さん、その時までにご自分の意向をはっきりしておいてくださいね。私はお父さんのお気持ちをあらためて確認しておきます」
私の自宅で父を介護するべきか、施設に入居してもらうか悩んでいる私の心を、ソーシャルワーカーは見抜いているのかもしれない。