「今、調べている最中なんで、うかつなことは申し上げられません」
「調べている……」
「はい。それが明らかになれば、我々は姿を消します」
 池中が言った。
「今すぐに消えてほしい」
「駒吉神社やこの西量寺を巡るからくりが明らかになったら、間違いなく姿を消します。約束しますよ」
 すると、河合が言った。
「口約束など信用できないな」
 阿岐本は笑みを浮かべて言った。
「博徒の口約束は、契約書を交わすより確かですよ」
 河合は鼻白んだ。
 藤堂が尋ねた。
「それはいつ明らかになるんですか?」
 阿岐本が尋ねた。
「もうじきだと思っております」
「本当に、この地域から姿を消してくださるのですね?」
「はい」
 藤堂は、河合と山科を見た。
「こう言っているのだから、今日のところは引きあげてはどうだろう」
 河合が言う。
「またそんな、弱気なことを……」
 山科が言う。
「俺は暴力団員の言うことなど信じられないな」
 藤堂が池中に尋ねた。
「あなたはどうですか?」