池中はしばらく何事か考えた後に、阿岐本に言った。
「原磯が何をしていると言うんだ?」
阿岐本がこたえる。
「今それを説明すると、いわれのない誹謗(ひぼう)中傷ということになりかねません。事実がはっきりするまでお話ししないほうがいいでしょう」
河合が言った。
「そんなまどろっこしいことを言ってないで、今ここに原磯を連れてきて話を聞いたらどうだ?」
阿岐本が言った。
「もう少しお待ちください」
池中が藤堂に言った。
「まあ、確実にこの地域から消えてくれるというのなら、俺は会長に従うよ」
藤堂は田代住職に言った。
「では、今日のところは引きあげることにします」
田代住職が言う。
「山門のところの抗議集団も解散させてください」
藤堂がうなずいた。
「わかりました。話してみましょう」