SSKで身を滅ぼしてはいけない

こうして、自分の時間の6~7割は次の3つに費やされることになる。

(1)接待や部下との同行営業、これには社内接待の時間も含まれる

『どう生きる?――人生戦略としての「場所取り」の教科書』(著:藤原和博/祥伝社)

(2)部下の査定や人事、これには部下との飲み会の時間も含まれる

(3)会議とその根回し、これには関連部署との社内調整の時間も含まれる

私はこれを称して、「接待(Settai)」「査定(Satei)」「会議(Kaigi)」の頭文字を取って「SSK比率」と呼んでいました。

実際、役員のスケジュール表を見れば一目瞭然です。「SSK比率」が9割に達する人もいるのです。

会議に出れば出るほど、自分本来の仕事をする時間が奪われます。仕事ができる人ほど偉くなり、偉くなるほど仕事をする時間が減る。これが昇進のジレンマです。

会議の進め方はうまくなっても、どんどん仕事のできない人になる。そして、自分が偉いという幻想に酔っているうちに、現実が襲ってきます。

外の社会で通用しなくなっていることに気づかされるのです。

だから、可能な限り、SSKに費やす時間を極小にしましょう。

40歳で部長職を擲(なげう)つのと、自分本来の仕事ができずに無能化するのと、どちらがリスクが高いか。

私は、後者だと考えたわけです。私には、多くの会社員はリスク(組織に潜<ひそ>むリスク、エネルギーを奪われるリスク)を先送りしているだけに見えました。