舞台からスタートしたという、「マツケンサンバ」

男たるもの、冒険しないといけない

私の出身は愛知県豊橋市です。子どもの頃はよく、暗くなるまで缶蹴りや忍者ごっこをして遊んでいました。ひょうきんで、人を笑わせるのが好きでしたね。学校では生徒会長のように目立つ存在ではなく、その横で応援しているタイプでした。

役者を目指すきっかけになったのは、10代の頃に見た石原裕次郎さん主演の映画『太平洋ひとりぼっち』です。確か石原プロモーションの第1回製作映画だったと記憶しています。裕次郎さん演じる主人公が、ヨットに乗って一人で太平洋を横断するというストーリーに衝撃を受け、「男たるもの、冒険しないといけない」と考えるようになりました。

もともと私は、小さい頃から映画館に通っていた映画好き。最初に見たのは小林旭さんの作品で、それ以降、浜田光夫さんと吉永小百合さんの『愛と死をみつめて』、舟木一夫さんが主題歌も担当した『絶唱』など、たくさんの日活映画を見てきました。

と言うのも、大工だった父が日活の映画館の社長さんの家を手入れしていた関係で、よく招待券をもらってきてくれたのです。

17歳で上京して役者になると言った時、兄弟は「お前は何を言っているんだ」と大反対。その頃すでに父は亡くなっていて、母が苦労して家計を支えていました。

そんな中で母だけが、「好きなことをやりなさい」と応援してくれたのです。私の手にお金を握らせ、東京へと送り出してくれた日のことは、生涯忘れることができません。

母は、『暴れん坊将軍』が始まった2年後に亡くなりました。親孝行らしいことは何もできませんでしたが、ドラマへの出演をものすごく喜んでくれて。せめてもの恩返しになったのかなと思っています。