銀行の領域を侵食する可能性

こうした状況に、AIはさらなる大きな変化をもたらします。

これは、受付や質問の回答をAIのチャットボットが行うような例だけに限りません。

『10年後のハローワーク これからなくなる仕事、伸びる仕事、なくなっても残る人』(著:川村秀憲/アスコム)

金融業の本質は、業務の効率化やIT化以上に、貸出先や投資先のリスクとリターン、保険の引き受け条件や、さまざまなマーケット情報の分析にあるからです。

AIはその分析の作業を、極めて迅速かつ正確に行います。

決算はデータ化できますし、取引先や事業分野もまた同様です。

金融はもともと確率を追い求めるビジネスだと言えますが、それこそまさにAIの得意分野です。

あとは、融資するかしないかの決定を行うだけです。

銀行だけではありません。

融資先の信用力がAIによる安価で確度の高い分析で見定められるならば、銀行を通さずに高い利回りを狙って行うソーシャルレンディングなどの直接金融が一段と発達しやすくなり、銀行の領域をいっそう侵食する可能性もあります。