ヴァイオリニストの前橋汀子さん(右)とシンガー・ソングライターのさだまさしさん(左)
ヴァイオリニストの前橋汀子さん(右)とシンガー・ソングライターのさだまさしさん(左) (撮影:岡本隆史)
ヴァイオリニストとシンガー・ソングライター。音楽家としてのかたちは違えど、前橋汀子さんとさだまさしさんは幼い頃から音楽と向き合ってきました。交流が深く、今なお現役で活躍するおふたりが、これまでの道のりを振り返りつつ語り合います(構成=小西恵美子 撮影=岡本隆史)

何が幸いするかわからない

さだ 初めて前橋さんにお会いしたのは……。

前橋 NHKの『今夜も生でさだまさし』におじゃまして。10年以上前になります。

さだ 深夜なのに快くおいでくださって。以来、「生さだ」だけでなく、僕が立ち上げた「風に立つライオン基金」で行っているチャリティコンサートにも出ていただきました。演奏をお願いしたうえに、「精霊流し」を一緒にヴァイオリンで弾かせていただいた。

前橋 前日、軽く合わせましたね。

さだ うちのスタッフが泣いてましたよ、感動して。その時、「僕はヴァイオリンに挫折した人間ですから、人前で弾くのが恥ずかしくて」と言ったら、「挫折してよかったわね」って前橋さんににこやかに言われて。さっきまで泣いていたスタッフが爆笑。おっしゃるとおりです。(笑)

前橋 ヴァイオリンのご縁ですね。さださんはヴァイオリンを習うために長崎から東京に通われて。

さだ 3歳で始めて、小学生からは夏休みに隔週で東京へ。鷲見(すみ)三郎先生の弟子でした。