最もしてはいけない行為
…嘘でしょ…? とんでもない人たち。これに感情移入しろと言われても…。
私は、さすがにこの展開にはひいた。子どもを車で跳ねておいてそれを隠匿するなど、最もしてはいけない行為だ。公務員ならなおさら、自分の過失を認めて最善の策をとらなくてはならないのに…。主人公の千紗子も何故そんな友人を責めないのか。
結局、警察に連絡せずに2人は少年を家に連れ帰ってしまう。少年が軽い脳震盪で気を失っていた程度だったからよかったようなものの、後日重篤な障害が起きたらどうするつもりなのか。正直私は半ば呆れ、千紗子と久江に強い反感を持ちながら、画面を見つめ続けた。
連れ帰った少年の身体に虐待の痕を見つけ、ニュースで川遊びをしていた少年が行方不明になっていたこと、親が大して捜索に協力もせず、東京に帰ってしまったことを知った千紗子は、「この子は私が育てる」と言いだす。子どもを親元に返しても、また虐待されると思ったのだ。千紗子が少年を守りたいとした気持ちはわかる。でも、今度は久江が反対。「それ、誘拐だよ。ダメだよ」。
当然である。もしもしばらくは見つからなかったとしても、子どもを学校に通わせたり、健康保険を取得したりもできないではないか。もしも虐待されているのなら、児童相談所に連絡すべきだろう。なのに千紗子は自分の感情に任せ、子どもを自宅に匿ってしまう。
子どもを自費で病院に連れて行きこそしたが、あとは「自分の子ども」だと嘘をつき、子どもが記憶を失っていること、父親が認知症なのをいいことに、子どもを匿い続ける。
「あなたは忘れているかもしれないけど、私はあなたのお母さんなのよ」と、少年に嘘をついて…。