登場人物たちを不自由にしているのは世の中の空気

登場人物たちを共感しにくい人格にしてしまった背景にあるものは何だろう。その答えの一部は亡くなった叔母の佳子が理紀に話した言葉にある。

「理紀、自由になれる方法を教えてやろうかい。結婚すりゃあいいんだ(回想)」(第2回)

結婚すると、世間の一員になり、途端に他人から干渉されなくなると佳子は説いた。理紀は「はぁ、結婚したら縛られるでしょう(同)」と相手にしなかったが、適齢期を過ぎた独身女性に好奇の目を向ける風潮は残っている。子供のいない女性に対しても同じだ。世の中の空気が登場人物たちを不自由にしている。

燕は春にやって来て、秋には南国に飛び立ち、また同じ巣に帰ってくる。『燕は戻ってこない』というタイトルが意味するものとは、理紀が産む子供が草桶夫妻に渡されることなのか、それとも理紀が故郷に戻らないことを指すのか、あるいは別なことを表すのか。やはり目が離せない。 (文◎高堀冬彦)

(『燕は戻ってこない』/写真提供:NHK)

ドラマ10『燕は戻ってこない

【放送予定】
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【再放送】
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