2.あなたが許可さえしなければ、不安は決してあなたを襲えない

生きていれば誰だって不安になる時がある。そしてその不安は大抵、ある程度までは膨れ上がっても、時間が経てば自然と静まるものだ。

どんなに不安なことであっても、心配するほどの惨事にはならない。だから不安になったからといって恐れる必要はない。

(写真提供:Photo AC)

とはいえ迫りくる不安を無理に押しこめようとすれば、不安は雪だるま式に大きくなって、ある瞬間に私たちをのみこんでしまう。

取るに足らないことにさえ手が震え、心臓が早鐘を打ち、目の前が真っ暗になるのだ。不安におびえてしまったら、何もできなくなる。

怖くて逃げ出そうものなら、それを思い出すたびに恐怖がよみがえり、同じような状況に対してますます二の足を踏むようになる。

だから不安を克服したいのならば、逃げるのではなく向き合うことだ。

ここで重視するべきは、「まだ何も起きていない」という事実である。

これについて心理学者アドラーは、不安は「人生の課題から逃がれるために作り出される感情」だと述べている。

例えば対人関係など、生きていくうえで避けられないものを「人生の課題」と考えた場合、それに取り組むのがつらくて逃げたくなる感情が「不安」というわけだ。

だが言ってみれば「人生の課題」というのも、私たちが周りの人や世間に認められるために自ら作り出したものにすぎない。

宿題を提出したのも、宿題が終わらない気がして不安になるのも、すべて私たち自身だ。

だから、不安になることを必要以上に恐れてはいけない。不安はしばらく留まるだけで、そのうち消えてしまう感情だ。

要するにあなたが許可さえしなければ、不安は決してあなたを襲えないのである。

それでも不安と向き合う勇気が出ないなら、不安が首をもたげた時に「大丈夫、まだ何も起きてない」と自分をなだめるのも1つの方法だ。