睡眠は脳と体を修復する大事な時間。だからと言って、たくさん寝ればいいというわけではありません。効果的に快眠できる方法をお伝えします(構成=吉川明子 イラスト=こやまもえ)
加齢で睡眠力は衰える
年齢を重ねると、「寝つけない」「眠りが浅くて、しっかり眠った実感が得られない」といった睡眠の悩みを抱える人は多くいらっしゃいます。
なぜ若い頃のように眠れなくなってしまうのか。それは、加齢とともにさまざまなホルモンが減少してしまうからです。特に女性の場合は閉経の影響も大きく受けます。
排卵後から生理が始まるまでの期間に分泌される女性ホルモンに含まれる「プロゲステロン」は、強い眠気をもたらす作用があるのですが、閉経後に女性ホルモンが分泌されなくなると、その恩恵が受けられなくなり、眠れなくなる女性が増えるのです。
また、男女問わず睡眠に影響するのが、「メラトニン」。これが加齢により減少すると、うまく寝つけなくなります。したがって、どんな人でも年とともに睡眠力は衰えるもの。75歳を過ぎると、人がぐっすり眠れる時間は、平均で6時間半ほどと覚えておきましょう。
とはいえ、眠れず悩んでいるという患者さんがいるのも事実。そんな方に私は、独自に開発した「行動計」を装着してもらっています。これは人がいつ、どのくらい寝ているか、起きて活動しているかを精緻に計測するもの。
それを見てみると、実は6時間半以上の睡眠時間は確保できていたり、「夜眠れない」と言いつつお昼寝をしていたり、といったことが多いのです。
ではどうして「寝られていない」と感じるのか。それは、深くて質のよい睡眠がとれていないから。そこで、シニア世代が快眠を取りもどす方法をお伝えしましょう。