人にとって幸せとは何なのか
2、3月と、トルストイ原作の『アンナ・カレーニナ』で主人公アンナを演じます。お話をいただいたのはだいぶ前ですが、コロナ禍の影響もあり、ようやく実現したのです。
初めて原作を読み、小説としてなんと素晴らしいのだろうと思いました。描写が細かくて目に浮かぶようですし、登場人物それぞれがすごく深く描かれている。そしてひとつのうねりのなかで、ラストに向かっていく。舞台のお話がなければ、あの大著を読む機会はなかったかもしれません。小説というものの力を改めて感じましたし、いい機会を与えてもらったと感じます。
アンナは結婚という枠を飛び出して、自分の感情のままに人を愛してしまいます。そのまっすぐな行動の裏には葛藤があり、迷いも苦しみもあったはず。そんな人間味あふれる部分に惹かれますし、人にとって幸せとは何なのかを問う作品なので、今の時代にも通じる点がたくさんあると思います。
演じるのがとても難しいし、ハードルが高い作品なので不安もあります。でも演出家のフィリップ・ブリーンさんの「怖くても挑戦しなければ面白くないでしょう」という言葉が、背中を押してくれました。