2つ目「創造する力」
2つ目は、「創造する力」です。
人類が過去に成し遂げてきたさまざまな発明や発見の中には、もともと世の中に存在していた考え方や情報を組み合わせることで実現したイノベーションも数多くあります。
ゼロからの創造でなくても、今すでにあるものを掛け合わせれば、新しい価値を生み出すこともできるのです。
「話す力」の授業でも、一人ひとりの個性がもたらす思いやアイデア、着眼点を引き出していきます。
過去の膨大なデータを参照して回答を見つけ出すことを得意とするAIは、現時点では、あまり関連のない要素を掛け合わせることは得意としていません。
意外な掛け合わせを見つけ、新しいアイデアを創造することは、人間だからこその力だとも言えます。
一方、AIを味方につけると、「創造する力」を強化することもできます。
例えば、膨大なデータに基づいたAIの回答をもとに、人間が何度もAIと対話を重ねていくと、考えをより深められます。
『東京都同情塔』で第170回芥川賞を受賞した作家・九段理江さんは、作中で重要な役割を果たすAIの思考や言葉の傾向を探る目的でチャットGPTと対話をし、それを創作に反映した、とインタビューに答え、話題になりました。
AIのデータ処理能力を最大限に活かし、ブレインストーミングや議論の相手にすることで、新たなイノベーションが生まれることも増えていくでしょう。
このような「創造する力」をさらに使っていくことが、常識の殻を打ち破る力となるのではないでしょうか。