「センス」と聞くと、生まれながらにもっているものという印象を受ける人がいるのではないでしょうか。しかし、「振る舞いや言葉など社会性をもった<センス>は、後天的に身につけるものばかり」と話すのが、約50ヵ国を旅した経験をもつ作家の有川真由美さん。今回は、有川さんの著書『センスいい人がしている80のこと』から、「センスがいい人」の考え方を一部ご紹介します。
「20年使えるもの」「100年使えるもの」を意識する
「今度コートを買うときは、10年はアウターを買わなくてもいいものにしよう」
そんなふうに探し、背伸びして手に入れた黒のウールコートは、15年経ったいまもお気に入り。外出時に悩むことがないので、20年は使い続けるでしょう。
引っ越しが多く、飽き性の私は、服もインテリアも、使い捨てや間に合わせの感覚が多くありました。
しかし、そんななかでも「10年使えるもの」と意識して買ったちょっといいものは、心から気に入っていて10年、20年と使い続けているのです。
センスのいい人は、シンプルやカジュアルなファッションのなかにも、どこかに「それ、素敵!」とキラリと光るアイテムがあります。
聞くと、かなり高い確率で「このワンピース、30年前のものだけど、柄が面白くて気に入っているの」「このブローチ、おばあちゃんから受け継いだもので……」といった歴史があるのです。
50代の男性の友人で「親父のオーダーメイドのジャケットを、サイズを直して着ている」という人もいました。母親の60年前の着物を、リメイクしたという人も。
時代を生き抜いてきたものは、それだけ魅力があり、大切にされてきたもの。「いいものを身につけている」という心の満足感も与えてくれます。
ヴィンテージが流行っているのも、そんな歴史を感じるからかもしれません。