不発弾への警戒レベル

不発弾を巡っては、こんなこともあった。

遺骨収集作業後のミーティングで弾薬さんが、強い口調でこう注意喚起した。

「安全管理事項として提言します。明らかに不発弾であるものをですね、手渡しで渡す方がおられます。不発弾かどうか分からない物については仕方ないのですが、明らかに不発弾であるものを『これ手榴弾』『これ銃弾』といって自衛官に渡すのは止めてください。これは皆さんの安全のためですのでよろしくお願いします。以上です」

島に渡って間もないころの僕は不発弾が出るたびに、びくびくしていたが、多くの銃弾や手榴弾などに接するうちに、警戒心は薄れていった。

この日の弾薬さんの注意喚起以降、僕は再び不発弾への警戒レベルを上げることにした。

※本稿は、『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』(講談社)の一部を再編集したものです。


硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』(著:酒井聡平/講談社)

なぜ日本兵1万人が消えたままなのか?

滑走路下にいるのか、それとも……。

民間人の上陸が原則禁止された硫黄島に4度上陸し、日米の機密文書も徹底調査。

新聞記者が執念でたどりついた「真実」。