西量寺の田代住職は、やってきた四人の顔ぶれを見て目を丸くした。
「こりゃ意外な組み合わせですな」
 阿岐本が言った。
「今日はちょっとうかがいたいことがあって参りました」
「訊きたいこと? 何でしょう?」
 斉木が持ち主不明の空き家について説明した。
「持ち主がわからないと、区としても処分のしようがないんで……」
「でも、たしか持ち主がわからない物件でも処分できるように民法が改正されたんじゃ……?」
「そうなんですけど、それには『調査を尽くしても持ち主がわからない』という条件があるんです。その上で、利害関係者が地方裁判所に申し立てて、弁護士や司法書士なんかの管理人を選定したりと、やたら面倒で……。持ち主が特定できれば、それが一番なんですよ」
「どこの物件なんです?」
 斉木が地図を取り出して説明する。すると、田代住職は言った。
「ああ、これならわかるかもしれない」
 斉木と原磯が驚いた顔になる。斉木が尋ねた。
「本当ですか?」
「ああ、ちょっと本堂で待っていてくれ」
 四人は本堂に上がり、田代住職は社務所に向かった。
 それから、二十分ほどして、田代住職が木箱を携えて本堂にやってきた。その木箱を四人の前に置くと、蓋を持ち上げた。
 斉木が箱を覗き込むようにして尋ねる。
「何です、これは」