倫理的な議論

経済面での議論に加え、倫理的な議論もある。

更年期症状に悩む従業員を差別することは、2010年平等法に反している。イギリスの通信会社BTは2012年、更年期症状に苦しむ女性を不当に解雇したとして、雇用審判所に訴えられ敗訴した。

(写真提供:Photo AC)

女性は医師による診断書を男性の上司に渡したが、男性は部下の状況を理解しようとせず、自分の妻の経験に基づいて症状を認識していた。

法廷は、男性上司が更年期の症状について、別の疾患による症状を抱える人と同じように対処しなかったと裁定した(9)。

要するに、女性は――全員ではないにせよ――子宮内膜症や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)といった女性特有の疾患や症状で苦労することがあるのだ。

多くの国では、こうした問題に職場で対処するための具体的な施策がないが、導入すべきである。

企業の人事方針は、生理がある人たちを含めた人間の体の現実を考慮に入れて、改定すべきだ。

そして、こうした問題について、すべての管理職に対し、着任時か研修を受ける際に周知しなければならない。