更年期の症状に関心が払われない現状
更年期休暇の問題は、職場における年齢差別と性差別とのインターセクションだ。
更年期の症状は、身体的でもあり心理的でもある。たとえば、ホットフラッシュ、睡眠障害、動悸、頭痛、体のコリ、いらつき、情緒不安定、そしてこれらすべてに対処しなければならないというストレスがある(2)。
妊娠によってこうした症状を経験する20代の女性は同情と支援を得られるが、またたく間に30年が過ぎると、解雇を恐れ、症状を隠そうとする。
閉経期に入ると、月経の回数が少なくなり、やがて完全に止まる。閉経の平均年齢は51歳で、イギリスでは50歳以上で雇用されている女性が350万人いる。体調の変化はおおむね4年から5年続くが、12年も症状が続く女性が1割いる(3)。
すべての女性が生理痛を感じるわけではなく、すべての女性が子どもを産むとはかぎらないが、生理がある女性はみな、閉経を経験する。
しかし、職場で女性のニーズに応えようとする議論の大半は、子育ての負担に関連するもので、平等法と人事管理方針では、妊娠と出産に伴う休暇に重点をおいている。
すべての女性が経験し、何年にもわたって日々の生活に重大な影響を与える症状を伴う変化には、ほとんど関心が払われていないのだ。
更年期が女性の経済参加に及ぼす影響、つまり、仕事をするための能力や賃金水準、業務の生産性に関する影響については、あまり研究が行われてこなかった。
こうした研究がないこと自体が、女性のニーズが配慮されていないことを浮き彫りにし、更年期を経験する労働力人口の半分に対して公的な支援がほとんどないことを意味している。
世界各地から集められた数少ないデータによると、更年期症状のため労働時間を短縮したり早期退職したりする女性がいる。なかには解雇される女性もいるという。そしてその大半が、否定的な反応を受けることを恐れ、更年期の問題を上司に告げていない。
50代以上の年齢層の女性は、仕事を続けるなかですでに収入が落ちてくる時期に入っている。さらに、60歳時点で、平均的な女性は退職後に備えた貯蓄が男性の4分の1しかない。
なんとしても収入と貯蓄を増やさなければならないので、働く能力に影響するようなことは何であれ、支援を受けられるようにするべきだ(4)。