戦場へ向かう利家を見送るまつの像。名古屋市(写真提供:PhotoAC)

大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。7月21日の第28話「一帝二后」では、入内させた娘の彰子(見上愛さん)を中宮にし、定子(高畑充希さん)と后を二人にする「一帝二后」をもくろむ道長。周囲の力を借りて一条天皇(塩野瑛久さん)の説得にあたるが――といった話が放送されました。一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生が気になるシーンを解説するのが本連載。今回は「裳着」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!

12歳で入内した彰子

以前、ドラマの中で「12歳で入内した」と説明のあった道長の娘・彰子。

その彰子を中宮にするという、いわゆる「一帝二后」をなかなか受け入れない一条天皇を巡り、周囲がすったもんだする様子が前話にて描かれました。

しかし、父親のいいなりのまま自分のもとへ嫁いできたその姿に、一条天皇は自らを重ねあわせると、すこしずつ彰子を受け入れるようになっていきます。

そもそも「12歳で嫁ぐ」とは、現在の感覚からすると、異常なくらいに早い気もしますが、当時の女性は、その頃くらいに成人式をしていたのも事実です。

今回はそのことについて記そうと思います。