新しい車椅子

11月中旬、約1カ月ぶりの退院を迎えました。

大助くんは病院を出るときからそわそわした様子で、「めっちゃええ車椅子、用意しといたからな」と言っていました。

(前)宮川花子 (後)宮川大助
(写真:『なにわ介護男子』より)

私が家で暮らしやすいように新しい車椅子を用意してくれたんです。

「ありがとう!」と感謝を伝え、帰宅後、さっそく車椅子に乗せてもらったんですが……どうもしっくりきません。

手がハンドリム(手でこぐときにつかむところ)に届かないし、足もブラブラと浮いたままです。

大助くんはそれには気づかず、満面の笑顔のまま私の顔をじっと見ています。

「ええやろう、それ」

「うん。でも、どうやって動かすの?」

「なんでやねん。いつもみたいに動かしたらええねん」

「そやからやってるやんか。でも手も届かへんし、足も浮いて届かへんねん」

「えっ?」

「ただのロッキングチェアやで」

そこにいた全員、爆笑です。どうやらサイズを間違っていたみたい。後日、交換してもらいました。

右足がまったく動かなくなって、いったいこれからどうなるんだろうと落ち込んでいた私も思わず笑ってしまいました。