また少し強く、前向きに

20分ほどたった頃でしょうか。

大助くんが「僕もなんかちょっと、しんどくてな。いらんことばっかり言うてしもて、悪かったな」と言うんです。

(左)宮川花子 (右)宮川大助
宮川花子「血圧測定でもおしめ替えでも、どんなときもおもしろすぎる大助くんに助けられている」(写真:『なにわ介護男子』より)

私、何も言っていないんですよ。

怒った顔も見せていません。

ただ黙って横になっていただけです。

それなのに「ほんまにごめん。僕もちょっとイライラしてて、つらい思いさせた。許してな」って。

大助くんに背中を向けて、ちょっとだけ泣きました。

そしてものすごく反省したんです。

私はなんてことを考えていたんだろうって。

「介護施設に入る」なんて言わなくて本当によかった。

そんなことを言ったら、大助くんはどんなに悲しむだろう。

こんなに一生懸命に尽くしてくれているのに、肝心の私が逃げてどうするんだ。

自分から介護施設に入るなんて絶対に言っちゃいけない。

この夜、私はまた少し強く、前向きになったと思います。