この家から離れようとしている自分

94歳になった母も、ちょうど施設に入ったところでした。

姉が「お母さん、介護施設に入ったよ」と連絡してくれたので、「うん、ありがとう。それでええよ」と答えていたんです。

『なにわ介護男子』(著:宮川大助・花子/主婦の友社)

病気をするまでは私が母と同居していましたが、最近はずっと姉たちが大変な思いをしながら面倒を見てくれていましたから。

母は施設に入るのが一番いい。

じゃあ、私は? 私もそうしたほうがええんちゃうか?

そしたら大助くんにこれ以上負担をかけることもないし、私も大助くんの疲れた顔を見なくてすむ。みんながラクになる。

今度ケアマネージャーさんが介護認定調査に来てくれたとき、施設を探してもらうようお願いしよう。

じっと天井を見つめながら、この家から離れようとしている自分がせつなくて悲しくて、心は重く沈んでいきました。

でも言葉にはせず、「ごめん」とだけ言ったんです。