赤ん坊は泣くのが仕事だというが
睡眠を妨害され続けることが拷問になることを、身をもって知った。次男のまーたろうは生後4ヵ月になる。早産未熟児で産んでしまった2歳の長男のみーたろうとは違い、3000gを超えて出てきてくれた。乳もよく飲み、最近はニヤッと笑い、鼻の穴を得意気に膨らませて「あっくうー」だの「ぐふぅー」だのと発声するようになった。これだけでも、あらゆる方面に感謝して拝み倒したいくらいのありがたき幸せ。
だが、寝ない。いや、抱いていれば天下泰平のごとく寝る。が、置くと猛烈に泣く。赤ん坊は泣くのが仕事だというが、仕事しすぎだろう。
確かに、腕の中にいるのは不妊治療の末授かった待望の第2子だが、24時間腕の中に居座られれば、子泣きじじいにしか思えない。夜中にそっと腕から布団に子どもをスライドすると、「エマージェンシー! エマージェンシー!」とばかり、けたたましく泣く。さらには、長男も共鳴しだす始末だ。
私も泣きながら、片手で次男を抱いて口に乳首を含ませると、もう片方の手で長男の背中をトントンする。しばらくすると部屋に静寂が戻る。私は指でこめかみを押さえ、次男を胸に抱えなおすと再び布団の上に積み上げたクッション群に身を横たえる。
そして意識が薄れだしたその途端、ヘリコプターのような轟音が耳を襲う。最愛の息子たちの父、その人のいびきである。