騙しのテクニック

予想外の相撲は11日目の大の里にもあった。大の里は照ノ富士との対戦で、得意の右を差したが、その右腕をさっと抜いて、左に体を動かして照ノ富士を突き落とした。

私は「ずるい!」とテレビの前で叫んだ。将来、大関といわず横綱になるだろう大の里が、このようなテクニックを使ってはいけない。正面から激突して欲しかった。

それと同時に、私はコロナ禍の前に、友人と鍋物を食べに行ったことを思い出した。

彼女は「最近、肥ってね。野菜しか食べていないのよ」と言った。そのため、鍋に放り込んだ海老とタラとつくねは私のものだと思っていた。ところが具たちが煮えると、彼女は海老とタラとつくねを、素早く箸でつまんで自分の取り皿に入れた。つくねは私より3個多く食べた。このような騙しのテクニックは使ってはいけない。