隅田川の花火大会
14日目は本当に忙しかった。幕内の取組の時に、ものすごい雨が降って来て、雨漏りのところにバケツを置き、雷の音がしたのでテレビを守るためにラジオを手にした。原稿を書いている時はテレビ東京で『独占生中継 隅田川花火大会 2024』を見て、NHKのパリオリンピックも見た。
私が幼い頃、隅田川の花火を歩いていけば近くで見られる所に祖父母の家があった。祖父は祖母に「孫に良い場所で花火を見せてあげたい」と言い、私を連れ出して、浅草のパチンコ店に行った。花火を見る人が多く、パチンコ店は空いていて、パチンコ台は選び放題だった。
祖父は「花火はいつだって見られる。パチンコはそうはいかない」と話して、景品のチョコレートをくれ、「おばあちゃんにはパチンコ店に行ったことは内緒だよ」と言った。花火が近くで見られなくても、祖父との秘密があることが私には嬉しかった。
戦争前は、国技館の近くに住んでいた祖父は、大相撲をたびたび見に行っていたと母から聞いている。その遺伝子が私に伝わっていると思うと、花火を近くで見られなかったことは許せる。