相手にぶつかる姿

残念なのは、3敗で優勝争いに参加していた大関・豊昇龍が休場したことだ。12日目、豊昇龍は琴櫻と対戦。この日の実況は名台詞を多発する吉田賢アナウンサーだった。不利な体勢になっても勝負をあきらめない豊昇龍は、琴櫻の足を跳ね上げて必死の首投げに入り、琴櫻の体勢が崩れるところで、「投げに警戒、投げに警戒、この首投げが豊昇龍の武器!」と叫んだ。大相撲の醍醐味を湧き立てる実況だ。

しかし、豊昇龍はこの取組で右内転筋挫傷となり13日目から休場してしまった。

12日目、吉田アナウンサーは、10勝しなければ大関に戻れない関脇・霧島が、前頭筆頭・熱海富士に右四つになり、上手を引いて寄り切った時も叫んだ。「この相撲で大関を、この相撲で賜杯を抱きました」。私は霧島が強かったり、弱かったりの不安定な相撲を取り続けるために、霧島本来の相撲を忘れていたので、再確認できた。

しかし、霧島は13日目に負けて7勝6敗となり、千秋楽まで勝っても9勝のため、大関復帰は無理となった。

さらに、悲しいことは13日目に起きた。大関在位30場所の貴景勝がカド番で苦しい土俵を続けてきたが、照ノ富士に敗れて負け越してしまい、大関陥落が確定した。貴景勝は首が悪いのに真正面から照ノ富士にぶつかった。14日目も琴櫻にぶつかり、押しされた。

相手にぶつかる姿に、私は涙が出た。来場所、関脇で10勝すれば大関に戻れる。頑張って欲しい。