『和泉式部日記』に記された身分違いの恋

『和泉式部日記』(和泉式部の日記か、誰かが彼女になりきって書いた日記風歌物語かは議論がある)は、和泉式部と恋人・敦道親王の、長保五年(1003)四月から翌年一月までの恋愛日記です。

受領の娘と親王ですから、かなりの身分違いの恋だと言えます。

この敦道親王は、『光る君へ』には出てこなかった冷泉天皇の皇子。花山・三条天皇の弟にあたります。ちなみにドラマにて、花山天皇は本郷奏多さんが、三条天皇は木村達成さんが演じていらっしゃいました。

冷泉の皇后は朱雀天皇(村上天皇の兄)の一人娘で昌子内親王といい、和泉式部やその両親、更に夫になる橘道貞(のちに和泉守になったので「和泉」式部)もこの人に仕えていました。

敦道は昌子の義理の子。なので、和泉式部との接点もこのあたりから生じたようです。

しかし和泉式部の身分ちがいの恋はこれが最初ではありません。

和泉式部、もとは敦道親王の兄・為尊親王と恋をしていて、為尊親王が若くして亡くなった後に、敦道親王と恋に落ちています。

スキャンダルを繰り返したことで、親からは勘当。親王の正妻は家を出、彼女がその邸に入る…というなかなかハードな道を選んだのです。