ギャンブル依存症の癖

かつて、わたしはパートナーに嘘をついてパチンコに通っていた。
多分、娯楽の範疇をこえてやっているようにみえたのだと思う。
そもそもパートナーが、わたしにパチンコを教えてくれたのだ。

だが、彼は程よくパチンコと付き合い、わたしはその面白さに連日通い詰めた。
一緒に行くこともあったが、早く切り上げて帰ろうとするのを「もう少しで出るから!ここまでやって勿体ないから!」と、よくわからない理屈で、わたしだけ閉店まで粘ることもあった。

「30分で帰るから」「この一箱が終わったら帰る」「明日は行かない」「もう行かない」

これらの嘘をつきながら、しかし、あっという間にバレて、「ごめんごめん」で済ませていた。

嘘をつくのはパートナーを失いたくなかったからであり、心配させたくなかったからであり、またパチンコをやめる気もなかったからだ。

ギャンブル依存症の癖の一つに「嘘をつく」というものがあるようだが、こちらはわたしも然り、よく理解できる。

ギャンブル依存症の癖
本連載から生まれた青木さんの著書『母』