先生からの叱責をきっかけに、チームのエースとして意識したこと

1年のときはベスト16だった。
2年のときは夏のインターハイを制し、国体も制した。

あと1つ、1月に開催される春高で勝てば、僕らは三冠を達成することになる。
大会前から注目されるようになっていたけれど、「優勝候補」といわれることに対してプレッシャーは感じていなかった。

春高が迫れば、練習試合も増える。
竹内先生の雷が落ちたのはそんなときだ。

片手に本を持つ石川祐希選手。もう片方の手に持つのはやはり…(写真提供:徳間書店)

当時、チームではエースとして、僕が攻撃の中心にならなければいけないことは理解していた。
ただ、同学年には山崎や神谷もいるので、攻撃枚数が少ないわけではない。

いろんな選手がいるなかで、自分も決めればいい。
僕なりにそう思って、日本一、三冠を目指してやっていたつもりだった。

しかし、竹内先生は、そんな僕の姿勢を強く叱責した。
「お前が打たないでどうするんだ。俺がチームを勝たせるんだという気持ちでプレーして、引っ張って、3年生を勝たせるんだよ」

いろんな経験を重ねた今の自分ならば、僕のプレーがあまりよくないことと、3年生に対する思いとはかかわりないと、イコールではないと、言い返すこともできるかもしれない。

でも、そのときは素直に「そのとおりだ」と思って反省し、より強く「3年生のために」と意識をしたことを覚えている。