有事のときこそ、経済的格差が顕在化する

もちろん備えていくことに越したことはないし、実際巨大地震が起きたら、今までの生活は一変し、自力で生き抜かないといけない場面に遭遇するだろう。一方で、これだけの備蓄を揃えるだけで、いったいいくらかかるだろう? と思ったりする。食料を1週間分揃えるだけでかなりの金額だが、ラジオやカセットボンベなどのひとつ数千円するものもたくさん必要だ。もちろん100均などで揃うものも多いが、本当に抜かりなく揃えようと思ったら数万円は下らないだろう。

いつも思うのだが、有事のときこそ、経済的格差が顕在化する。備えるのにはお金がかかる。大災害の前にあって、貧富の差など関係なく、平等にリスクに晒されるという意見もありそうだが、リスクヘッジはお金でできる部分も大きいように思う。

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何年か前に、巨大な台風が接近する中、備える街の人たちのインタビューが流れた。ある人は、10万円もする自家発電機を買ったという。そもそも頑丈な家に住んだり、自家発電機やバッテリーなどを買ったり、豊富な備蓄をしたり。それらは経済的余裕がないとできない。

1週間分備蓄しろと言われても、そんなお金はない、という人も少なくないのではないか。1週間分の備蓄が“推奨”されているというが、義務になったり、地震が起きたあとに、備蓄していなかった人が悪い、と自己責任にされることがあったら恐ろしいと感じる。