「年寄り」にはなれても
わたしは自分で自分を「ズルいやつだなあ」と思います。
何がズルいかというと「今」という時代と常に仲良しであることです。
過ぎ去った特定の時代を「あの頃は良かった」とは一切言いません。
正直なところ、過去のどの時代とも「仲は悪くなかった」けれど「殊更仲良しでもなかった」気がします。だから過去への執着も、若さへの羨望もないのでしょう。「今、ここにいる自分」がすべてです。
そう思わないと、次の世代に申し訳が立ちません。「あんな大人になりたい」という姿を体現するのが、わたしたちの努めでしょう。
ここで言う「大人」とは、次の世代を育てる意識がある人に許される“賛辞”としての言葉であり、どこまでいっても「本人」が使う言葉ではありません。
人は「年寄り」にはなれても、「大人」には簡単になれないのです。
※本稿は、『60歳からの人生デザイン - 手ぶらで、笑顔で、機嫌よく過ごすための美学』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。
『60歳からの人生デザイン - 手ぶらで、笑顔で、機嫌よく過ごすための美学』(著:秋田道夫/ワニブックス)
心、人間関係、幸せ、お金、健康、時間など――。
60歳から考え方を「デザイン」しなおせば、これからの人生が驚くほど上機嫌になる!