糖尿予防にも

階段を下りる運動を続けると、耐糖能という、血糖値の上昇を抑える働きが高まるという報告があります。これは着地動作において、速筋といわれる筋肉がよく使われることと関係しています。

筋肉の細胞には速筋と遅筋の二つがあり、平均として、5対5くらいの割合で構成されています。そして着地の衝撃を受け止める運動では速筋が優先的に使われます。というのも、着地のような動きは「とっさに体を守るとき」に必要な動作でもあるからです。つまり、素早く力を発揮できる速筋の出番となるのです。

そして速筋は糖質利用能力が高いため、速筋を鍛えることは糖尿病予防、改善に効果的となるのです。

駅などを歩いていると、階段はすいているのに、横にある下りのエスカレーターに行列ができている様子を見かけることがあります。

これはせっかくの運動の機会を逸しているわけでほんとうにもったいない。特に下りのエスカレーターの順番を並んで待つくらいなら、喜んで階段を使いましょう。

なお、階段を下りる動作は関節などへの衝撃が強く、膝や足首を痛めやすいという問題もあります。気になる場合はスピードをやや遅くして、一歩一歩確実に下りるようにしましょう。

筋肉への刺激という点でもゆっくりと丁寧に下りたほうが、しっかりと筋肉に負荷がかけられるので効果があがります。

※本稿は、『学術的に「正しい」若い体のつくり方』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。


学術的に「正しい」若い体のつくり方』(著;谷本道哉/中公新書ラクレ)

筋肉こそ生涯の友である!
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