激しいいじめ

桐壺更衣は、帝の部屋に向かう打橋(うちはし)に汚物をまかれたり、両側に戸のついた廊下に閉じ込められたりしました。

古代宮廷の時代ですから、上水道も下水道もありません。

『美しい原文で読む-源氏物語の恋のことば100』(著:松井健児/中央公論新社)

汚物は樋洗童(ひすましわらわ)という係の者が宮廷の外へ持ち出します。

この係を手なずければ、こうしたいじめもできたのかもしれません。

廊下に閉じ込められた更衣が助けを求めたとしても、警護の者は右大臣の配下にあり、誰も助けてくれなかったのではないでしょうか。

寒い冬の夜であれば、とても惨(むご)いことです。