公の定め

桐壺更衣はついに病に倒れ、日に日に衰弱していきます。

桐壺更衣は、療養のため実家に帰ることを願い出ますが、帝は別れがつらく、それを許しませんでした。

(写真提供:Photo AC)

けれども、いつまでもためらってはいられません。更衣の容体は、ほんとうに差し迫ったものだったからです。

そのうえ、神聖な宮中にあっては死は忌むべきものとされ、帝の妻であっても、宮中で亡くなることは許されませんでした。それが公(おおやけ)の定めなのでした。

そのため、たとえ自分の意思に反してでも、帝は、更衣を宮中から退出させなければならないのでした。