「母と子の教室」は現在、耳の不自由な当事者とその家族、専門家の三者で力を合わせる一般社団法人「トライアングル金山記念聴覚障害児教育財団」へと発展。
最近まで長女は地方公務員として働く傍ら、トライアングルの仕事にも関わっていました。自分の経験を活かして活動していることが、親としてなにより嬉しいですね。
長女が小学1年生のとき、自治体の広報紙で「家庭文庫を開いたグループに、図書館の本を貸し出します」という知らせを読みました。
家庭文庫は、個人が自宅と蔵書を開放して、近所の子どもたちに本を貸し出す活動。耳からの情報量が少ない長女にはたくさん本を読ませたかったので、家庭文庫をやってみたいと思うようになりました。
PTAで話すと大勢のお母さんが賛同してくれて、受付などを手伝ってくれることに。場所は自宅の庭に据えたプレハブ。近所に住む友人が手放すというので、もらい受けたのです。こうしてできた「みどり文庫」は、毎週水曜の放課後に開かれるようになりました。
みどり文庫のために毎月図書館に行って、借りられる限界の100冊まで本を借りてくださる熱心なお母さんもいて、私ひとりではとても続けられなかったと思います。
「子どもは社会が育てる」ことを教えてもらった大切な時間でしたし、周囲に長女のことを知ってもらういい機会にもなりました。
このときのお母さん仲間とはいまでも週に1度、わが家で女子会を開くほど長いお付き合いが続いています。ランチの前に、まず全員でお習字をするのですよ(笑)。達筆だった母の字には、いまだ敵いません。