第9期司法修習生は女性が9名、と画期的に多かった。そのうちの8名。左から3人目が手塚さん(写真提供◎手塚さん)

人生はいつも行き当たりばったり

家事育児、「親の会」の仕事、弁護士業務に3分の1ずつの割合で力を注いだ時期は長かったですね。そんな生活でも国選弁護は必ず引き受けていました。

71年からは家庭裁判所の参与員を、3年後からは調停委員にもなり、70歳の定年まで務めました。

参与員は家庭裁判所で家事審判を行う際、手続きに立ち会ったり、意見を述べたりする人。紛争の解決策を考えるため、当事者の言い分や気持ちを十分に聞きながら話し合いを進めていくのが調停委員です。

夫が2016年に亡くなってからは、次男と私で弁護士事務所を引き継ぐことに。裁判所に出席するような長期にわたる仕事はさすがにもうできませんが、法律に関するこまごまとした相談を受ける仕事は続けています。

18年前に引き受けた後見人の仕事も引き続き行っているところです。その方には障害があり、ヘルパーの派遣や車椅子の支給等を、障害者福祉により無料で受けていました。しかし65歳を過ぎて介護保険サービスに切り替わった途端、すべて有料となり、障害年金では賄いきれなくなってしまったんですね。

月に1度ケアマネジャー、ヘルパー、ときには通所施設の指導員とご本人とでいろいろ話をするのですが、ご本人には赤字であることがなかなか理解されません。また将来の生活についてご本人の希望と現実のギャップが大きく、明るい見通しを立てることができないのも悩みの種です。

弁護士を67年間やってきましたが、感謝されるばかりではありません。恨まれることもたくさんあります。人間同士の間に入る仕事ですから、一所懸命になりすぎてもうまくいかない。何年続けても簡単な仕事ではありませんね。