きっと「何かやらかした」

先日行われた試合で、瑛介は試合前に発表されたスタメンから外され、試合中ずっとベンチに中腰で控えていた。
最初何が起こったのかわからなかったが、きっと「何かやらかした」ことだけは確信した母は、生きた心地がしないまま川原の遠くを見つめていた。

あとで理由がわかった。
「スパイクを磨いていなかった」のだ。

へ!?確かに前日の夜、瑛介がパンイチで玄関に座ってブラシでシャーシャーとスパイクを磨いていたのを母は見ていた。

どういうことかと聞いたところ、
どうやら今回試合の前にスパイクをチェックされた際、外側はいつも通り拭きあげていたが、前日の試合でスパイクの中敷きの中に入りこんだ砂をそのままにして履いていたらしい。逆さまにしてザラザラ〜っと砂が落ちてきた選手がもれなく外されたのだという。

まさか,そんな土が入ったまま平気で履いていたのかスパイクを!?気持ち悪くないのか!?
結構な量の砂が中敷の下に入り込むのはよくあることなんだとか。そこは磨く時に中の土をしっかり取り除かなくては。裏返してトントン、くらい…しなかったんだなウチの息子。

並べて置かれた複数のバット
グラウンドでのバットの並べ方にもチェックが入ります。

甘いのだ。「磨いた」つもりでも、やっぱり道具の手入れが甘いということだ。

厳しいようだが、中途半端な手入れをして「やりました」と言うのは通用しない。
父はその時出張でいなかったのだが、たぶんいても同じように厳しく厳しく叱ったんだと思う。