悲劇かどうかは他人が決めるものではない
七実は悲憤する。無理もない。悲劇かどうかは他人が決めるものではないからだ。障がいがあるからといって悲劇ではない。
このエピソードは障がい者が登場するほかのドラマへのアンチテーゼでもあったのではないか、過去の障がい者が出てくるドラマの多くは悲劇として描かれた。
仕事での無力感と不本意な記事によって酷く落ち込んだ七実は家で寝込む。有給休暇を目いっぱい取った。七実のような人は珍しくない。成功している間は元気だが、心が折れると立ち上がれなくなる。
七実に限らず、登場人物たちはみんな身近にいそう。このドラマがウケている理由の1つにほかならない。出てくる人たちにことごとく現実味がある。原作が作家の岸田奈美氏(33)によるセミドキュメントということもあるだろう。
七実は寝込んでいる間、風呂に入る気力すらなかった。まるで仮死状態である。すると、普段は仲良しの草太の態度が違う。息を止めている。
「私、臭い?」(七実)
聞くまでもない。主人公の女性が臭いという設定のドラマはまずないが、これもリアリティを感じさせ、面白い。