日本で「PTSD」とい病名が知られるようになったのは…

1994年に帰国した頃も、日本では精神科医の間でもほとんど知られていませんでしたが、その翌年の1995年1月に阪神・淡路大震災が起こり、同年3月に地下鉄サリン事件が起こって、そこからトラウマ、PTSDという病名が国内でも広く知られるようになりました。

以後、大規模な自然災害や事件などが起こるたびにPTSDが心配され、日本で調査をしてみると、被災者の10%程度がPTSDを発症したとされています。

通常、自然災害でPTSDを発症するのは被災者の2%程度とされており、日本人はPTSDを起こしやすいと考えられています。

だというのに、日本ではトラウマやPTSDをきちんと診断・診療できる医者が少ないうえ、無知なマスコミがその言葉を広めて、一般の人たちの間で拡大解釈されています。

本来、PTSDの治療は、精神療法(EMDRと呼ばれる特殊な心理療法や認知行動療法など)を中心に行われます。

必要に応じて投薬も行いますが、基本的には長い期間をかけて根気強く精神療法を続けることが求められます。

※本稿は『「精神医療」崩壊 メンタルの不調が心療内科・精神科で良くならない理由』(青春出版社)の一部を再編集したものです。


「精神医療」崩壊 メンタルの不調が心療内科・精神科で良くならない理由』(著:和田秀樹/青春出版社)

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