薬では治らない病気「トラウマ」「PTSD」
薬で治らない重症の精神疾患としては、トラウマ性の精神障害やPTSDがあります。
トラウマというのは、戦争や拷問、大規模な自然災害・事故、児童虐待、家庭内暴力レイプなど、命に危険を感じるような衝撃的な出来事を体験または目撃したときに生じる心の傷のことです。
その心の傷がいつまでも癒えずに、衝撃的な出来事を繰り返し思い出したり(その光景が浮かんでくる場合は、フラッシュバックといいます)、それに関連する記憶を失ったり、
感情の麻痺、入眠困難、著しい不安や集中力の低下、あるいはちょっとしたことに過度に驚くといった症状が1カ月以上続き、日常生活に深刻な支障をきたしている状態をPTSDと呼びます。
PTSDが注目されるようになったのは、ベトナム戦争の頃からです。
レイプの被害者とベトナム戦争の帰還兵に見られる症状がそっくりだということで、1970年頃からPTSDの概念が生まれ、1980年にDSMというアメリカ精神医学会の診断基準で、初めてPTSDという病名が採用されました。
私は1991年にアメリカへ留学したとき、実質的に初めてPTSDのことを知りました。