イメージ(写真提供◎Photo AC)
貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。第76回は「お金の使い道」です。

河井ゆずるさんの言葉

私は貧困家庭で育ったのだが、同じく貧困家庭で育った芸人・アインシュタインの河井ゆずるさんをインタビューしたことがある。

貧困家庭で育つと、お金がないがゆえに我慢すること、苦しいことを人一倍経験する。そこから経済的に豊かになれる人は一握りだろうが、そういう“這い上がった人”がどんな価値観を持っているのか、とても気になっていた。

河井さんは、毎年児童養護施設への寄付を続けている。その理由について次のように語っている。

「同じ100万円というお金だとしても、普通の経営者や役員が稼いでいる100万円と、芸人である僕が稼ぐ100万円だったら、それを使って世の中に発信できることや影響力が違うなと思ったんですよね。」

「やっぱり日本ってチャリティーとか寄付っていうのにまだまだ抵抗があると思うんです。売名行為とか綺麗事ばっかりとか、何を言われても僕は正直何も思わないんですよ。別に偽善でも何でもいいと思う。できる限りやれることをやるだけ。」(mi-mollet「売名と言われてもいい」貧困家庭で育ったアインシュタイン河井ゆずるが児童養護施設への寄付を続ける理由

綺麗事とか偽善とか言われてもいい、でも自分はチャリティー活動をするのが使命だと思っている。そんな河井さんの真っすぐさに胸を打たれた。お金への執着がないという河井さんは、後輩にご馳走したり、プレゼントを贈ったりしていて、色んな人から慕われている。信念を持ち、それを体現するような生き様。なんて素晴らしいのだろう、と尊敬の念をいだかざを得ない。

同じく、貧しい幼少期をすごし、そこからスターに上り詰めた中川家は、自身のラジオ番組で、いまだに貧乏時代の感覚が抜けないことを話している。値段が高いものを見るとびっくりするし、そんなに払えないと思うし、高いものを食べても落ち着かないという。ふたりほど有名で人気者であれば、贅沢にどっぷり使って、贅を尽くしそうなものだが、地に足がついているというか、物欲もなく、つつましさが残っているところがなんとも彼ららしい。