『着る学校』受講生・のりちゃん
受講生・のりちゃん(写真提供:ご本人 以下全て)
ドラマスタイリストの西ゆり子さんが、一般女性に向けて2022年6月に開講した『着る学校』。好きな服を着るための基礎知識を学び、自分らしいおしゃれを楽しめるようになると、人生がどのように変わっていくのか。最終回は、50代からは好きな服を着て、それまで封印していた「自分らしい生き方」を目指している受講生の方の学びを紹介します。(全5回連載/第5回)

校長・西ゆり子さんのインタビューはこちら

50代からの生き方を考えて

50歳になる少し前から、50代以降の人生をどう過ごしていくかについて考えるようになりました。というのも、それまでの私は、仕事も私生活も常に「人のため」を第一に考えていたのです。自分の中に確固たる理想があって、家事や夫の世話も手を抜きたくない、インテリアコーディネーターの仕事もよりクオリティの高いものを目指したいと、毎日、必死に頑張って。その結果、「私自身はどうしたいのか」と自分の気持ちに寄り添うことがおろそかになっていた。自分が本当に食べたいものを食べたり、好きなものに触れて自分をいたわってあげることを忘れていたような気がします。

どんな服を着るかに関しても、自分の好みは封印していましたね。本来の私はモード系のカッコイイ服や民族衣装のような柄物の服が好きなのですが、裏方仕事という立場を考慮して、身に着けていたのはグレーやネイビーなどの「目立たない」「地味な」色合いの服ばかり。「主役はお客様」という思いがあったのはもちろんですが、私は身長が169cmと同世代の女性の中ではかなり高いほうなので、その場にいるだけで自然と目立ってしまいます。ただ立っているだけで偉そうに見えてしまうこともあったので(笑)、「周囲から浮かないように」と自己主張のない服ばかりを着ていたんですね。

『着る学校』受講生・のりちゃん
長身が映える水玉模様のロングワンピース

それが、50代を迎える直前にコロナ禍が起こり、それまで経験したことのない静かな時間を過ごしている中で、これまでと同じスタイルで生活していたのでは、この先もたないんじゃないかと感じるようになり、衣食住をひとつずつ見直していくことにしたのです。30代で上京し、仕事も家事もがむしゃらに頑張り続けてきたけれど、空回りして疲れてしまうことも多かった。ならば、ここでもう1度本来の自分に立ち返り、50代からの人生をどんなふうに過ごしていきたいのかを考えてみようと。そんなとき、たまたまインスタで『着る学校』の存在を知り、「今の自分が着たい服を探してみよう」と、レッスンに参加することにしたのです。