よく知られている「地獄絵」とは?

『正法念処経(しょうぼうねんじょきょう)』という四〜五世紀頃のインドの仏典に書かれている八大地獄ないし八熱地獄は、その最終的完成品である。

この地獄セットの中身を10世紀末に日本の僧侶源信(げんしん)が『往生要集(おうじょうようしゅう)』の中で紹介し、また絵師たちも各種の「地獄絵」に仕立て上げたので、今日にもよく知られるところとなった。

地獄の空間は8種類であり、いずれも地上の衆生(しゅじょう)の居住空間よりもはるかに広大である。

それぞれの名称は地上から地下へ向かって、等活(とうかつ)地獄、黒縄(こくじょう)地獄、衆合(しゅごう)地獄、叫喚(きょうかん)地獄、大叫喚地獄、焦熱(しょうねつ)地獄、大焦熱地獄、無間(むけん)地獄<=阿鼻(あび)地獄>となっている。