(写真提供:Photo AC)
地図を読む上で欠かせない、「地図記号」。2019年には「自然災害伝承碑」の記号が追加されるなど、社会の変化に応じて増減しているようです。半世紀をかけて古今東西の地図や時刻表、旅行ガイドブックなどを集めてきた「地図バカ」こと地図研究家の今尾恵介さんいわく、「地図というものは端的に表現するなら『この世を記号化したもの』だ」とのこと。今尾さんいわく、「現在の橋記号は2本線の橋と1本線の橋の2種類しかない」そうで――。

瀬戸大橋は地図でどう表現された?

現在の橋記号は2本線の橋と1本線の橋の2種類しかない。バリエーションがなくていささか寂しいが、橋そのものは新しく長大なものが各地に架けられ、トラス橋や斜張橋、アーチ橋などさまざまな形式が妍(けん)を競っている。

最初に記号を作ったときには想定しなかったであろう構造の橋も登場した。

担当者がさぞ困っただろうと思われるのが瀬戸大橋である。これは周知の通り上下二層構造になっており、上が高速道路で下が鉄道だ。

橋の形式は吊り橋やトラス橋などいくつかあるが、もちろん図から区別はつかない。

結局ここで描かれた記号は上を通る「中央分離帯のある道路」の橋だけで、鉄道はとりあえず無視された格好だ。