絵画の右端にいるのは……
しかも画面右端で鑑賞者に視線を向けているのはボッティチェリ本人だし、他はフィレンツェの政治経済を牛耳るメディチ家の面々とその関係者たちだ。
彼らは画面上で聖書時代にワープし、スーパースター、ジーザス・クライスト(イエス・キリスト)といっしょに記念撮影をする感覚で画面におさまっている。
絵画はタイムマシンがなくともこうした芸当のできるところが強みと言えよう。
※本稿は、『カラー版-西洋絵画のお約束-謎を解く50のキーワード』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『カラー版-西洋絵画のお約束-謎を解く50のキーワード』(著:中野京子/中央公論新社)
ちょっとした知識があれば、隠された画家からのメッセージを探りあてることができる。
「見て・感じる」だけではわからない、絵を読み解く手がかりをテーマ別に解説。
この本を読めば、鑑賞体験はもっと豊かなものになる。