心血管疾患との関連

第三が、心血管疾患との密接な関連性です。

腎機能が低下すると、心血管疾患が起こりやすくなります。「心腎連関」と言って、腎臓の状態が心機能にも大きく影響を与えるのです。

アメリカの研究では、慢性腎臓病の患者さんが心血管疾患を発症する確率は、健康な人に比べて3.4倍にもなるとされています。

腎臓の機能が低下し、糖尿病や高血圧を併発するようになると、体内に活性酸素が増えます。

活性酸素は、増え過ぎると動脈を傷つけ、動脈硬化を進行させるだけではなく、心臓にも大きな負担となります。心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患も起こりやすくなるのです。

実際に慢性腎臓病になると、人工透析に至る前に、心血管疾患で亡くなる人のほうが実は多いということもわかっています。

言い換えれば、腎機能は私たちの寿命に深く関わっているのです。

腎機能が急激に落ちることにより、私たちの寿命はつきます。

高血圧や糖尿病を併発していれば、腎機能の低下とともに、それらの病気も悪化していきますし、心血管疾患のリスクも高まるのです。

こうして健康寿命が大きく損なわれることになります。

※本稿は、『腎臓の名医が教える 腎機能 自力で強まる体操と食事』(徳間書店)の一部を再編集したものです。


腎臓の名医が教える 腎機能 自力で強まる体操と食事』(著:上月正博/徳間書店)

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