苦労続きの母に素晴らしい老後が

母はその後、コツコツ貯めたお金を投資で増やし、現在はノースカロライナにあるリタイアメントコミュニティ(退職した高齢者が集まって暮らせるよう設計された街)で、悠々自適の生活を送っています。

そこは入居の一時金が数千万円しますが、ホテルのような施設で、住人は一人ずつコテージを持ち、掃除はハウスキーピング任せという優雅さ。食事は共同のレストランで食べ、みんなでカラオケをしたりプールで泳いだり。時にはバスに乗ってスポーツ観戦に行ったりもします。うらやましいぐらいです!

苦労続きだった母ですが、こんなに素晴らしい老後を過ごすことができるようになって、本当によかったと思っています。

今年の7月は、僕の高校の35周年記念の同窓会でコロラドに帰りました。母が再婚相手と一緒にノースカロライナから、姉がカリフォルニアからきてくれて、久しぶりに家族全員が揃って。

僕と2人の子どもたちを加えた総勢6名で山の中にある素敵なリゾートホテルに泊まり、川下りをして遊ぶなど大盛り上がり! 思い出に残る、最高の夏休みになりました。

大学を出て僕が日本に行くと告げた際、母が口にしたのは「いつ帰ってくるの?」という一言だけ。僕は、「1年だけ行ってくるね」と言い残して家を出たのを覚えています。けれどそれが2年になり、3年になり、ついには遠い異国でお笑い芸人になってしまったのですから、想定外もいいところです。(笑)

母はその後も口を開くたびにいつ帰るのか尋ねてきましたが、15年が過ぎた頃から何も言わなくなりました。もちろん内心は寂しく思っているはずなので、最低でも年に一度は会いに行くようにしているんです。