お香でかおりを隠して…

貴族の女性たちは、生まれた時から髪を切りません。

身長よりも長く、ストレートで黒々した髪で男性を魅了します。

洗髪は一月に一度だったといいますから、髪を洗う直前などは相当匂ったのではないでしょうか?

しかもそのにおいを隠すために、消臭剤を使うのではなく、お香をたきしめる。

……想像しただけで、なんだかむせてしまいます。

貴族たちは美人と評判の女性に文を送り、求愛する。何とか色よい返事を得て、二人きりになる。

するとまず、髪の香りが匂い立つわけですね。

それでもめげずに「あなたのお顔を見せて下さいな」と檜扇をどけてみたら「うわ! イメージと全然違う!」ということが、しばしばあったかもしれません。